PAMORAの使い方(4)
ナルデメジン投与患者への緩下剤 投与の工夫と使用症例─患者さん,下痢になっていませんか?

2018.07.15

鹿田 康紀
済生会福岡総合病院 がん治療センター


OICは,オピオイド鎮痛薬治療を受けている患者の多くに認められ,報告によって相違はあるが,日本での入院がん患者での発症率は約40%とされ,海外での報告では慢性疼痛患者での検討であるが40〜64%と高率であるとされている。
OICは,耐性が生じにくく患者負担が大きいことから,一般的にはOIC予防目的に浸透圧性下剤や大腸刺激性下剤を用いることが多い。ナルデメジントシル酸塩錠(スインプロイク®)は,腸管でのオピオイドの消化管蠕動運動や消化管神経活動の抑制に対して強力な拮抗作用を有することによって便秘改善を来す薬剤である。しかしながら第III相がん患者対象検証試験(V9236試験)において,便秘症状の改善は著明に認めたものの,有害事象として下痢を18%に認めたと報告されている。われはれは,その原因として,それまで使用していた緩下剤を内服したままの状態でナルデメジンが投与されたことが,過量投与となったのではないかと考えた。

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