便秘治療のちょっとしたこと(2)
漢方薬

2018.07.15

大前 隆仁
甲南病院 緩和ケア内科


 本稿の読者は漢方薬についてあまりご存じでない方が多いと思うので,まず簡単に東洋医学における病理観と治療方針の考え方のイメージをお伝えすることから始めたい。ご存じの方,各論だけ知りたいという方は,読み飛ばしていただきたい。
 元来の東洋医学的理論における治療の基本原則は,「足りないものがあれば補う」「余分なものがあれば瀉す(体外に出す)」というものである。「よく食べて,よく出す」とは端的に表現した言葉である。また,体内の邪(病気の根源)を体外に出す経路として,「汗」「尿」「便」(まれに「口」から吐き出すという作戦もあるがこれは非現実的)を専らとする。このなかで便から直接邪を追い出すことを目的とする方剤には大なり小なり下剤が含まれる。この理屈により多くの漢方方剤には下剤の成分が含まれていることもご理解いただけるのではないだろうか。

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