緩和ケアをするうえで必要な発達障害の知識

2018.09.15

上村 恵一
独立行政法人国立病院機構北海道医療センター 精神科


私たち医療者には苦手な患者がいる。病状が深刻であっても,あの患者と話すのは,あるいはベッドサイドに行くのは苦手,ときにはつい陰性感情をもってしまいがちな患者のなかに自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder,ASD)の方が存在する。精神心理的ケアの専門家ではなくても,ASD 傾向にある人についての対応をチームで検討することが重要であるが,どのような症例からその特性を疑えばよいだろうか。ASDは,診断基準が分かりにくく,正確な診断には精神心理的ケアに携わる専門家の助けが必要であるが,一方で安易なレッテル貼りにならないことがさらに重要である。人は,発達に対しての偏りを少なからず有しており,その程度が緩和ケアを提供するにあたり阻害要因となる場合に,その発達特性について加味しながらケアに関わる必要がある。

この記事の続きは、下記書籍からお読みいただけます。