「やめどき」について悩む場面―これまで行っていた治療・ケアを続けるのかやめるのか?
骨関連事象予防のために投与されていたビスホスホネートとデノスマブ(ランマーク®)のやめどき

2015.08.21

 ビスホスホネート(以下,ビス剤)は,骨を構成するピロリン酸に類似した物質で,まず骨皮質に沈着し,そのあと破骨細胞内に取り込まれて,骨器質からの遊離やアポトーシスを誘導して,骨吸収を阻害する。デノスマブは,破骨細胞の形成および活性化に必須のサイトカインである,RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa—β ligand)に対するIg G2モノクローナル抗体である。破骨細胞の形成・活性・生存を抑制して,骨関連事象(skeletal related event;SRE)の発現を抑制する。
 いずれも,骨痛を緩和する作用があるので,日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014 年版』では,両者を骨代謝修飾薬(bone modifying agent;BMA)とまとめて,鎮痛補助薬に位置づけている。

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200080

Vol.25 Suppl(増刊号)

緩和ケア 2015年6月増刊号

緩和ケア臨床  日々の悩む場面のコントラバーシー

 昨今,緩和ケアについての教科書もマニュアルも,雑誌の特集も増えたが,臨床家の悩みは尽きない。その1つに,“やめどき”がある。「これまでの治療やケアをいつまで続けるのが正解なのか」「いつやめたほうが正解なのか」─抗がん治療のような“大きな”決断ではなくても,毎日毎日,こまやかな,しかし確かに決断が必要なことが存在する。

● 骨合併症のために定期的に投与していたビスホスホネートは,いつまで続けるべきなのだろうか?
● 消化管閉塞に対して効果があるように見えたソマトスタチンは,患者が死亡数日前に思える時にも継続するべきなのだろうか?
● ステロイドを内服していた患者が内服できなくなったら,ステロイドを注射薬に変えてでも,継続するべきなのだろうか?
● 看護ケアでは,吸引やバイタルサインのチェックは,どうなったら中止した方がいいのだろうか?
●「 この民間療法が効くはずだ! 」という信念のある患者・家族にどう対応するのか?
● 患者自身が,「家族には説明してほしくない」と言いつつ病状が悪化していく時に,どうしたらいいか?
●「 患者が希望をなくすから,嘘の説明をしてほしい」と家族に希望されたらどうしたらいいか?

 これらは,ある程度の「エビデンス」が確認されているものもあるが,まったくないような事柄もある。それでも,なるべく各執筆者の考えや,臨床経験から,“具体的な対応策集”となるよう記述してもらった。本増刊号が,これらの疑問に日々悩む臨床家の一助となれば幸いである。

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