患者が,「自宅に帰りたい」と発言されるが,事情があって,なかなか退院許可が出ない事例を体験することがある。具体的には,「入院環境で抗がん治療を開始あるいは変更したいと考えている場合」「症状が緩和されていない場合」「炎症反応が高値の場合」「介護者がなく,増悪した認知症状を抱える場合」など,退院してもすぐに緊急入院の事態が予測されるケースなどがある。
本稿では,独居で生活しているがんの終末期の患者が,「自宅に帰りたい」と話される一方で,「自宅では,集中した医療が受けられる環境にならないと退院が難しい」と医師が考えている場合の対応について述べる。
「どうしたらいいのか」悩む場面―正解のない状況でのコミュニケーションや考え方【患者との対応】
「今はまだ帰れない」とき―早く帰りたいという患者と,このままでは帰すのが心配な医療者
2015.08.21
この記事の続きは、下記書籍からお読みいただけます。