医療者側が「進行がんという病気」について時間をかけて丁寧に説明したあとも,医療者が思った以上に,なかなか病気への理解が難しいという場面は,臨床現場ではしばしば見受けられ,その都度対応を迫られることがある。また,このような場合の対応は,筆者の知るかぎり,成書では明確に触れられていない。
また,50 歳代,60 歳代などの中年期のがん患者の治療方針について,カンファレンスで議論する際に,医療者が熱意をもって治療やケアを行っているために,医療者の見解として,「(患者が)病気の受容をできていない」「(患者と医療者との)病状認識に相違がある」「(患者の)理解力が低下している」などがその原因として挙げられることがある。
このような時には,「(患者が)病気を受け止めるには」「(患者に)病気を理解してもらうには」「(患者に)治療を諦めてもらうには」「(患者に)長く生きられないことを自覚してもらうには」と,説得する方法に焦点が向けられることもある。
本稿では,「進行がんという病気への理解が困難な状況」における臨床現場での対応,すなわち,病状認識に対する理解や受容が困難な患者の対応に関する,ヒントの1 例を示したい。
「どうしたらいいのか」悩む場面―正解のない状況でのコミュニケーションや考え方【患者との対応】
「“進行がん”という病気への理解が困難な状況」における臨床現場での対応
2015.08.21
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