分子標的治療薬の概要と緩和ケアでの活用

2014.07.11

医学は間違いなく日進月歩であり、がんの薬物療法も、身体に対する緩和医療も大きく進歩した。この10年ほど前までは、最後まで闘いたい患者においては、「抗がん剤の副作用で、かえってつらい状況で亡くなる」ことも考慮し、「休眠療法」などと称して、ごく少ない量を投与する考え方もあったが、エビデンスがないとして消え去った。抗がん剤治療は、効果がなくなり、病状が悪化した場合は、免疫を抑制し、白血球を減らす等の副作用からも中止せざるを得ず、終末期においてギアチェンジを強要された。

ところが、分子標的治療薬は白血球を減らすことが少なく、免疫を抑制しない、内服薬がたくさんある等の特徴がある。最近、まだ観察研究ではあるが、分子標的治療薬においては、効果がなくなったと判断した場合でも、中止するよりも続けて治療した方が生存期間は長いという研究結果が次々と報告され、近くエビデンスとして確立される可能性がある。 つまり患者さんが最期まで「闘いたい」「希望を持っていたい」とされた場合、分子標的治療薬はたとえ緩和病棟に入っていても、その治療が叶えられる可能性が出てきた。

分子標的治療薬のさらなる発達で、近い将来、緩和医療においても重要な役割となる可能性がある。

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