いま伝えたいこと―先達から若い世代に(17)
緩和ケアと向き合うには

2017.11.15

安達 勇(静岡県立静岡がんセンター 参与)


私は,腫瘍内科医として国立がんセンターで働き,その後,緩和医療医師として静岡がんセンターに務め,実に半世紀に渡りがん医療に携わってきたことになる。一貫してがん医療の最先端を垣間みてきた。その間,がん医療に対する医師側の姿勢が時代とともに変革してきたと痛感している。大学で内分泌学を専門としていたことから進行再発乳がんの内分泌療法や化学療法を臨床腫瘍内科医のはしりとして分担し,当時はがんを徹底的に治すことを目標にしていた。乳がんは固形がんのなかでも抗がん療法で寛解することも多く,病脳期間が長く,転移に伴うさまざまな病態,治療の副作用など多々学ばせてもらった。特に1989年に乳がん患者の患者会「八番会」がつくられたことから,初めて患者・家族側らの治療に伴う副作用のつらさや日常生活面の苦悩などを知ることができた。自分なりに「治してやった」などと自己満足しながらプロトコール・スタディをこなしていたことを大いに恥じることを経験した。

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