合格ラインはどこか すっきりしない症状・まれな症状の緩和ケア
痛みや呼吸困難,悪心のような代表的な症状には,教科書に詳細な記述があり,ガイドラインがあり,出版されているマニュアルにも取り上げられて,行うべき治療がおおむね決まっている。臨床家は,悩みながらも「これくらいやれば合格だろう」という線をイメージすることができ,その通りに対応する。ただ,教科書通りの苦痛緩和をやっても,「すっきりしない症状」が実際にはさらに多いことを経験する。
成書に記載はあっても,すっきりしないことが多い症状や,そもそも詳しく取り上げられていない,また遭遇する頻度は比較的少ない症状について「どこまでやれていたら合格なのか」「最低でも,ここまではしておきたいラインはどこなのか」と試行錯誤する臨床家が,「これくらいやれば,だいたいは合格らしい」と確信することで,患者の苦痛緩和に貢献できるように編集されたものである。
目次
まえがき 森田達也 ⅲ
監修・編集・執筆者一覧 ⅷ
Ⅰ すっきりしない痛み・しびれ
01 頭頸部がん患者の痛み・頸部圧迫感・顔面の浮腫 田上恵太,桑原芳子 002
02 腕神経叢浸潤による神経障害性疼痛 波多野貴彦 009
03 脊髄横断症状の起こり始めの急速な痛み 櫻井宏樹 015
04 厄介な直腸テネスムス 野里洵子,福田かおり,森田達也 022
05 がん性髄膜炎の頭痛 大西佳子 029
06 こむらがえり 松本弥一郎 036
07 オピオイドのレスキューが10~20回から減らない 馬場美華 040
Ⅱ すっきりしない呼吸器症状
01 オピオイドを増やして少し楽になったけどまだ苦しい安静時呼吸困難 長谷川貴昭 48
02 少量の喀痰を伴う咳―痰が出しにくい 高木雄亮 055
03 大量の喀痰が減らない 菅野康二 061
04 パニック(不安発作)と同時にくる息苦しさ 松田能宣 069
05 労作時だけに生じる息苦しさ 合屋 将 075
06 大きな呻吟とびっくりする無呼吸 江川亜希,山口 崇082
Ⅲ すっきりしない消化器症状
01 止まらないしゃっくり 松田洋祐,伊藤祐子 088
02 おさまらない下痢 清水啓二,柿元奈緒子 098
03 繰り返す下痢と便秘 白井直美 104
04 消化管閉塞で急におそってくる蠕動痛と嘔吐 川島夏希 112
05 止まらない下血・吐血 岡 梨津子,岩倉俊子 118
06 オランザピンを処方したいけど耐糖能異常があるかもしれない時 岡本禎晃 124
07 腹水を抜いても残る張り感 田中佑加子,山口 崇 131
ペリスコープ① 腹部膨満感に対するジアゼパムの使用について 長 美鈴 138
ペリスコープ② 腹部膨満感の時に腸管「内」をみていますか? 田上恵太 140
Ⅳ すっきりしない精神神経症状
01 昼間にうとうとするので夜にぐっすり眠れない 大谷弘行 144
02 パーキンソニズムのある患者のせん妄 井上真一郎 149
03 せん妄に合併したようにみえるアカシジア 上村恵一 155
04 オピオイド使用後にせん妄を生じやすい高齢がん患者 五十嵐江美,田上恵太161
05 ミオクローヌス 西島 薫 167
06 これ,セロトニン症候群? 平山沙織,山口 崇173
07 まさか悪性症候群?―ドパミン受容体遮断薬の投与後,急なCPKの上昇と発熱に遭遇したら 佐伯吉規 178
Ⅴ すっきりしない皮膚症状
01 原因のはっきりしない全身性のかゆみ 武見綾子,西 智弘 186