多様な人の可能性を彩る作業療法
◆編集 岩切良太/元廣 惇
作業療法士の未来は他者に委ねるものではなく、作業療法士自身の実践と選択で形成されていく。1人ひとりの作業療法士が「自分は誰のために、何のために作業療法を行うのか」という問いを立て続けることが、専門性の進化を支える原動力となる。
作業療法士の越境は、職域の応用や拡張ではなく、「本質への回帰」である。作業を通じた社会参加という原点を多様な分野に実装することが、真に「作業が尊重される社会」の実現につながる。本書で紹介するさまざまな実践がその一歩となり、さらに広がりをつくっていくだろう。
多様な人の可能性を彩る作業療法
序文 元廣 惇 003
1.作業療法士が職域を「越境」する意義 元廣 惇 007
2.作業療法士が多様な人を対象とする意義 岩切良太 013
3.痛みに対する作業療法の可能性 平賀勇貴 018
4.神経難病と共に生きる人々の可能性を拓く作業療法の視点と社会への展開 長城晃一/松下 航/原 竜生 023
5.精神科急性期における作業療法実践の可能性 猿爪優輝 028
6.精神障害者向け期限付きグループホームにおける実践 鈴木一広 032
7.放課後等デイサービスの限界点と未来─作業療法士の背景をもつ経営者の思考 高橋一滋 037
8.認知症にやさしい図書館と作業療法士の可能性─多世代・地域交流に貢献する取り組み 都甲幹太/谷川良博/永井邦明 041
9.新たな介護予防の可能性を探る高齢者へのICT支援 川端敦史 047
10.高齢者の就労的活動 川崎一平 053
11.地域における居場所づくり─三股町の取り組みを通して 杉田政嗣 059
12.社会を動かす学び─作業療法から生まれたダイバーシティの新しいかたち 脇 葵依 064
13.多様な人の可能性を彩る作業療法─学校作業療法の視点から 土屋左弥子 069
14.”できる”を広げる自助具と支援のかたち─作業療法士が果たす新たな役割 川口晋平 074
15.作業でつなぐ,働く人々に対する健康経営支援 爲國友梨香 081
16.多彩な可能性を探る卒前教育 宮内貴之 086
17.仲間と共に育てる卒後教育のあり方 赤坂竜一 091
18.人と生活に根差した支援手段としてのIT 伴 大輔 095
19.作業療法士兼ケアラー当事者が考えるケアラー支援 大橋夢子 100
20.地域で暮らす高齢者への移動支援 野口佑太 105
21.離島で広がる作業療法の可能性 平城修吾 110
22.身だしなみ支援の実践と可能性─ルックスケアからみた作業療法 川端美月 114
23.医療・介護の情報連携を繋ぐ作業療法士の挑戦─ケアをつなぐ,あなたのジョシュとして 永島 匡 119
24.不妊治療と作業療法─交わることのなかった領域へ 濱野真凪 124
25.育児期の暮らしの彩りを育む作業療法 帯刀麻衣 129
『臨床作業療法NOVA』の経緯と休刊のお知らせ 134