生活を支えるための神経ブロック
「痛みのために〇〇ができない」――緩和ケアの現場で出会うさまざまな局面で,神経ブロックは大きな助けになる。しかし,どんな痛みをいつ,誰に相談するのか,薬やケアをどうするのか,実際にQOLは向上するのか,など悩みはつきない。さらに,「症状を緩和する」というのは,「症状があってできなかったことをできるようにする」ことが本来の目的である。本特集では,生活を支えるうえでの包括的なアプローチの1つとして神経ブロックを捉え直し,緩和ケアやペインクリニックの視点から現場の工夫をまとめた。
目次
特集:生活を支えるための神経ブロック
特集にあたって 森 雅紀,矢野和美,森田達也 164
緩和ケアにおける神経ブロックの役割
1 「生活を支えるという視点からの神経ブロック」という概念 森 雅紀,森田達也 165
2 緩和ケアにおける神経ブロックの役割─全国調査の結果をふまえて 松本禎久 171
生活を支えるための神経ブロック─事例から考える
1 神経ブロックと日常生活の広がり 横道直佑 177
2 AYA世代がん患者の就労と神経ブロック 里見絵理子 181
3 神経ブロックにおける患者の生活と看護ケア 藤田かおり,山代亜紀子 185
神経ブロックの地域ネットワークを構築する
1 静岡県西部における神経ブロックへの取り組み 山田博英 190
2 京都府におけるがん疼痛に対する神経ブロック提供の取り組み 大西佳子 196
神経ブロックをめぐる知っておきたい臨床スキル
1 神経ブロック直後の全身オピオイドの管理 佐藤哲観 202
2 硬膜外鎮痛・くも膜下鎮痛でのレスキュー選択 久保麻悠子,小杉寿文 207
3 在宅における脊髄くも膜下鎮痛法 服部政治,前 知子,他 212
Column
30年前の緩和ケアと神経ブロック事情 森田達也 216
連載
FAST FACT(62)
スピリチュアルペインのアセスメント 市原香織 219
落としてはいけないKey Article(59)
ナルデメジンはオピオイド誘発性便秘症を予防するか?─ 便秘を予防するだけでなく悪心・嘔吐も予防する可能性!? 浜野 淳,森田達也 220
のぞいてみよう! 国際学会最前線(31)
初めての国際学会での口述発表!─ ESMO Congress 2024 西山菜々子 227
な~るほど ちょこっと レシピ(3)
悪心・嘔吐がある時のおすすめレシピ 「おだし香るすまし汁」 佐々木まなみ 230
看護師の緩和ケアチーム エントランス(話 輪 和)(3)
チャレンジの先にあるもの 田中静子 232
ホスピス緩和ケアの日々(42)
「死にたい…」と言われた時に─日本死の臨床研究会 教育研修委員会で学んできたこと 相河明規 234
仕事人の楽屋裏(59)
小川朝生 236
Information 206
次号予告 238