生きる力の源に がん闘病記の社会学

2011.10.14
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生きる力の源に がん闘病記の社会学

ISBN:978-4-902249-57-6

仕様:A5判 308頁

本体価格(税別)
¥3,048
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序章 本書の概要

1 「闘病記」について
2 研究の対象と方法
3 先行研究
4 本研究の意義

第1章 闘病記をめぐる社会的背景

1 闘病記への関心の高まり
2 闘病記出版数の増加の要因

1)出版の大衆化
2)疾病構造の変化 -がん闘病記の時代

3 ナラティヴ・ベイスト・メディスンへの動き

第2章 闘病記の系譜

1 闘病記の歴史

1)非共有の「闘病」意識
2)「闘病」という言葉
3)三大新聞にみる「闘病」の出現と普及
4)『闘病術』の内容
5)結核という病い
6)『闘病術』と結核患者
7)「闘病」の一般化
8)「闘病記」の登場
9)「闘病」の起源と社会背景
10)辞書にみる「闘病」の変化

2 がん闘病記の変遷-「告知」を中心に

1)変遷の要因
2)がんをめぐって
3)がん治療の流れ
4)「インフォームド・コンセント」と「告知」
5)「告知」とがん闘病記
6)がん闘病記の変遷
7)がん闘病記とマスターナラティヴ
8)近年のがん闘病記

第3章 「アウェアネス理論」からみるがん闘病記

1 『死のアウェアネス理論と看護?死の認識と終末期ケア』について
2 「終末認識」と相互作用-グレイザーとストラウスによる「認識文脈」
3 「閉鎖」認識と「告知」以前の闘病記
4 「疑念」認識と児玉隆也『ガン病棟の九十九日』
5 「相互虚偽」認識
6 「オープン」認識-「告知」以後の闘病記
7 新たな時代へ

第4章 がん闘病記と5つの語り

1 がん闘病記について
2 調査の概要
3 回復の語り
4 衝撃の語り
5 混沌の語り
6 探求の語り
7 達観の語り
8 5つの語りと「死」
9 語りの変容と現代社会

第5章 乳がん闘病記をめぐって

1 闘病記にみるジェンダー

1)なぜ乳がん闘病記が多いのか
2)闘病記の内容
3)しこりに気づいたとき
4)乳房喪失-「女性」へのこだわり
5)医学上での乳房の軽視
6)乳がん治療の流れ
7)鏡を見る恐怖
8)千葉敦子の場合
9)ジェンダーへのこだわり
10)「女性」としての意識に目覚めるということ

2 個人にみる変容-小倉恒子医師と8冊の闘病記

1)小倉医師と乳がん
2)8冊の闘病記の概観
3)ブログと講演活動
4)小倉医師へのインタビュー
5)乳がん闘病記をめぐって

第6章 グリーフワークとしての闘病記-家族が書く闘病記

1 患者本人以外の闘病記
2 闘病記とグリーフワークについて

1)グリーフワークとは
2)「二人称」の死

3 遺族によって書かれた闘病記の諸相

1)余生のよすがに-「ありのままに生きる」
2)病気の進行を克明に記録-社会の役に立ちたい
3)生きた証しを残したい-わが子を失って
4)その他
(1)社会に伝えたい,子どもたちに伝えたい
(2)いつか何かのかたちに
(3)遺志の社会化-夫の思いを社会に伝える

4 「闘病記」からみるグリーフワーク

1)遺族によって書かれる闘病記のパターン
2)癒す作業としての「書く行為」
3)「故人との関係を学び直す」ということ
4)「意味再構成」としてのグリーフワーク
(1)気持ちの整理ができたことで次の人生へ移行
(2)社会に役立つことを目指し,実行できたことで納得
(3)一体化・内面化することで喪失感が和らぐ
(4)「生きる勇気を得る」「区切り?切り離し」「遺志の社会化」

5 死別による喪失を書くという作業

第7章 テキスト化する闘病記と新たな役割

1 闘病記の参考書的役割

1)患者・家族にとっての参考書
2)闘病記古書店主星野史雄へのインタビュー
3)ピアカウンセリングの役割
4)病気への対処を学ぶ,生き方を学ぶ
5)医療のあり方への提言
6)「闘病記文庫」をめぐって

2 闘病記をめぐるコミュニティの形成-星野周子『いのちに限りが見えたとき』をめぐって

1)問題の所在
2)星野周子の場合
3)星野周子へのインタビュー
4)闘病記をめぐるコミュニティの形成
5)星野周子『いのちに限りが見えたとき』をめぐって
6)共有体験のコミュニティ

3 闘病記と「いのちの教育」

1)看護学教育における実践から
(1)授業の概要
(2)がん患者の闘病記を取り入れた授業
(3)闘病記を看護学教育で用いることの意義
(4)今後の展望と課題
2)6年制薬学教育における「ヒューマニズムについて学ぶ」
(1)「闘病記に学ぶ」授業開始の背景
(2)薬学生の感想
(3)「緩和ケア」総合教育分野での実践
(4)「セカンドステージ大学」における授業
3)授業を通して

4 闘病記の発展可能性-闘病記を用いたグリーフケアへの応用

1)闘病記を発展させたかたち-日本の状況
2)海外のホスピスでの実例
(1)MercyHospiceAucklandとバイオグラフィカルサービス
(2)コロラド州HospiceCareofBoulder&BroomfieldCounties(HCBBC)における
HearttoHandWritingGroup
3)闘病記の発展可能性

第8章 生きる力に-現代における闘病記の意義

1 患者本人が闘病記を書くことの意味

1)病いを語るということ
2)「書く」行為についての語り
3)病いの体験を書き綴ることについて
4)がんを病む人の意味世界
5)闘病記を書くことの意味-「新たなる自分」の形成

2 現代における闘病記の意義

1)闘病記の「受動的能動性」
2)「受動的能動性」が機能するとき
3)現代社会における闘病記の意義

終章 闘病記という物語

参考文献

調査に用いたがん闘病記

巻末表

索 引

あとがき