身寄りのない患者への対応(4)
お金はあるけど身寄りのない人の財産をどう管理するか?

2018.05.15

黒田 ちはる
賢見 卓也
NPO法人がんと暮らしを考える会


高齢化による独居世帯の増加,未婚率の上昇に伴い,今後も独居のがん患者は増加することが予測される。独居のなかでも特にキーパーソンが不在となる身寄りのない患者は大きく分けて2種類に分けられる。家族構成の変化などによる天涯孤独の患者。もう一つは実際には血縁・姻戚関係がいるものの,何らかの理由で疎遠になり,連絡が取れない患者である。

後者の場合,患者個人の財産であっても,相続財産となり得る可能性もあるため,患者1人の意思だけでは決めかねるケースもある。一方で前者の天涯孤独の患者に関しては,生存中に患者自身が身辺整理や残された生活の意思決定も行っていかなくてはならない。このような状況で財産管理に関しての直接的な介入は医療者の範疇を超えているが,残された時間のなかでの財産管理の選択肢を把握し共有することは,患者の意思決定支援に役立つと考えられる。

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