化学療法に伴う悪心・嘔吐のマネジメントは,制吐薬の開発と,適正使用のためのガイドラインが整備されたことにより,改善がみられるようになった。しかし,再発・進行がん患者が治療中に体験する悪心・嘔吐は,抗がん剤の直接作用のほかに,複数の要因が重なって生じていることが多い。
また,悪心は本人にしか分からない主観的な体験であり,患者が置かれている状況の中で,単に症状というだけでなく,さまざまな意味を帯びて存在している。看護にあたっては,悪心・嘔吐を体験している患者を包括的に理解した支持的ケアを提供していくことが重要である。