認知症の人というと,一般には「覚えられない(記憶障害のある)人」というイメージが強い。そのため,認知症の人の意思決定を支援するというと,「覚えるのを助ける」ことと思われがちである。しかし,認知症に伴う障害には,より強く意思決定に関わる「判断」や「表現」の障害も伴う。また,認知症と診断がつくと,「すべて判断できない」と誤解を招く場合もある。どのような「決めづらさ」があるのかを的確に判断し,必要な支援が何かを同定する力量が,支援者には求められる。
本稿では,認知症患者の意思決定に関わるポイントと実践例について示す。