医療用麻薬

2016.06.15

わが国における医療用麻薬の消費量は先進諸国の中で最も少なく,がん疼痛管理が適切に行われていない可能性が問題となっている。原因として,日本人はアヘン戦争や覚せい剤乱用などの歴史から,麻薬恐怖症(opioid phobia)が強く植え付けられていること,さらに戦争中は,「堅忍持久(つらさや苦しさに耐え,我慢強く持ちこたえること)」の精神を叩き込まれており,それが現代でも日本人の心の根底に強く根付いていることが,痛みを我慢してしまう(それが美徳であると思っている)原因といえよう。子どものころ,筆者もよく,母親から痛みがあっても「男の子なのだから我慢しなさい」,38℃以上の熱があっても「それくらいの熱,我慢しなさい」と,言われたものだ。すなわち,「我慢」することが美徳とされてきた。

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