河野 佐代子
慶應義塾大学病院 看護部
不眠は,がん患者において頻度の高い症状のひとつであり,不眠が遷延すれば,患者は大きな苦痛を感じ,生活の質を低下させることになる。私たちは,患者が眠れていない状態をみると,少しでも心地よく眠ってもらえればと早期の改善を願う。不眠への対処として,簡便であり即効性も期待できるため,医療者は,しばしば患者に睡眠薬を投与している。しかし,睡眠薬の使用は,患者の状態によっては,患者の苦痛をさらに強める可能性がある。そこで,本稿では,患者の不眠へのケア・対処として薬を渡す前に私たちが押さえておくべき点について事例を交えて説明する。