新規睡眠薬の効果と緩和ケアでの役割

2017.07.15

山川 宣
神戸医療センター 緩和ケア内科


従来からの睡眠薬は,一部の例外を除きベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZ作動薬;本稿ではベンゾジアゼピン系薬剤・非ベンゾジアゼピン系薬剤の両者を含む総称)が使用されてきた。緩和ケア領域でも,不眠のみならず,呼吸苦・悪心・痙攣・神経障害性疼痛・髄膜刺激症状など,さまざまな病態にBZ 作動薬が使用されている。
一方,BZ 作動薬は,終末期に高頻度で出現するせん妄の原因薬剤の1つであり1),筋弛緩作用で転倒転落などのリスクがあり,死亡率増加2)や認知症との関連3)が指摘され,多くのBZ 作動薬で常用量依存に対する添付文書改定がなされるなど,従来の「不眠にとりあえず使用」の観点は改める必要が生じてきている。
そこで期待がかかるのが,睡眠障害改善薬として近年相次いで上市された,BZ作動薬とはまったく別の機序で作用するラメルテオン(ロゼレムⓇ)とスボレキサント(ベルソムラⓇ)である。しかし実際に使用してみると,これら薬剤は従来のBZ 作動薬と特性が異なるため,「BZ 作動薬のようには効かない」という印象を受けることがある。そこで本稿では,新規睡眠薬の特性や実際の効果,緩和ケア領域での意義について考えてみる。

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