緩和ケアチーム看護師:司会のNsです。今日のカンファレンスでは,画像のレクチャーをしてもらうため,放射線科のD医師をお呼びしています。
放射線科の医師:こんにちは。よろしくお願いします。
緩和ケアチーム看護師:患者さんは,Aさん,70歳の女性です。膵臓がん,骨転移の化学療法(表1)で通院中に,低カルシウム発作を起こして緊急入院となり,緩和ケアチームも初めて介入しました。R先生,膵臓がんの診断までを説明してください。
緩和ケアチーム看護師:司会のNsです。今日のカンファレンスでは,画像のレクチャーをしてもらうため,放射線科のD医師をお呼びしています。
放射線科の医師:こんにちは。よろしくお願いします。
緩和ケアチーム看護師:患者さんは,Aさん,70歳の女性です。膵臓がん,骨転移の化学療法(表1)で通院中に,低カルシウム発作を起こして緊急入院となり,緩和ケアチームも初めて介入しました。R先生,膵臓がんの診断までを説明してください。
2011年12月17日。
少しずつ復興してきている被災地をテレビで見られることがすごく嬉しかった。私はこの日,初めて被災地を訪れることになりました。
北上に到着すると,被災直後から復元のボランティアをしていた復元納棺師の笹原留似子さんと,秘書の菊池秀樹さんが笑顔で出迎えてくれました。言葉には少し“なまり”があり,東北の人の温かさと響きの心地良さを感じます。心地良さを車に乗せ,支援グループメンバーの緩和ケア医師2 人と共に,北上から大槌町へ“お茶っこ”の準備に向かいます。
前回,地域の緩和ケアを充実するためには,一体型の緩和ケアチームを地域ごとに育てなければならない,という趣旨のことを書いた。シリーズ最終回の今回は,若干の違いがあるにせよ,このような緩和ケア専門診療所(ほとんどが無床診療所)が,わが国にはすでに多数とはいわないが決して少なくない数が存在し,そのことによって地域が変わってきたことを紹介したいと思う。
三宅医師のQ
50歳,女性。卵巣がん術後に補助化学療法を施行し,肉眼的な再発はなく経過しています。最近,味覚異常が出現して食事が進みません。食事の工夫について教えてください。
千田さんは,私が1人でインタビューに行った最初の人だった。撮影には不向きなライティングの部屋で,カメラのセッティングに苦労したことを思い出す。待ち合わせ場所に着いて,人混みの中で初対面の千田さんらしき人を探していた私の前に,千田さんが現れた。慣れない土地で1人で行う最初のインタビューで緊張気味の私を和ませるような明るい笑顔だった。
私の緩和医療との出会いは,以前に勤務していたPCU(緩和ケア病棟)を有する病院であった。そこに集う多くの患者さんの人生は,実に多種多様である。専門施設に辿り着く前にこそ,本当に困っている方々がおり,一般病院や地域での早急な緩和医療の充実が必要だと痛感していた。
現在の病院は,ドクターへリを有する急性期病院である。このような地域の中核病院で緩和ケアチームをつくりたいと願っていたが,悪戦苦闘の日々であったことを両親もよく知っていたはずである。
この夏は,久しぶりに岡山の自然を体験しました。
このケースでは,患者が「仕事を生きがいにしていた」という情報から,スタッフは「患者が仕事の整理ができるように関わる」ということに焦点を当てていた。
一方,妻は「患者へは予後は伝えてほしくない」「仕事の整理や引き継ぎは自分が行う」と言い,患者の希望を叶えたいと思っていたスタッフにとっては,戸惑う状況があった。
病状の変化とともに変わっていく妻の思いを,家族にとってのグッドデス概念を用いて整理していく。
がん治療に伴うリンパ節切除や放射線療法を受けたすべての人が,日常の些細なきっかけで「リンパ浮腫」を発症する可能性があり,また,蜂窩織炎などの合併症により重篤化することも少なくない。リンパ浮腫の症状は日常生活にも支障をきたし,過度のむくみにより体型が変化したりすることがある。心身ともに負担が大きく,社会活動への参加を避けていく人も多くみられる。また,高額な治療費の自己負担を強いられ,将来の介護の必要性についても懸念される。
しかし,早期からの的確な診断,個別に応じた治療・指導,情報提供により,これらを招くリスクを回避することができる。日本脈管学会の概算によると,がん術後にリンパ浮腫を発症する患者は年間6,000 人を超える。また,「厚生労働省難治性疾患克服研究事業原発性リンパ浮腫診断治療指針作成委員会(委員長笹嶋唯博)」により,医療機関を受診した原発性リンパ浮腫の患者が約3,500名に上ることが明らかとなった。診療報酬の評価は,これまで治療法がないとされてきたリンパ浮腫患者にとって大きな福音となっている。
1.オピオイドによる嘔気・嘔吐に対する治療
ガイドラインの日本語訳
1)エビデンス
それまでに嘔吐のないがん患者の40%近くが,オピオイドの投与により嘔気や嘔吐を経験する。オピオイドによる嘔気・嘔吐は必ず起こるというわけではないので,予防的に制吐薬を投与することは一般的には行われていない(is not generally prescribed)。
医療者・介護者がどのように介入すれば,生命に関わる難しい意思決定の障壁を克服しうるか明らかにされておらず,確立されたプログラムはない。高齢者の緩和ケアでは,認知機能低下による意思決定の難しさが問題であり,自律や家族関係に関連した苦痛も生じやすい現状がある。
この問題に対峙するため,米国・豪州での視察の経験をもとにエンド・オブ・ライフケアチーム(end of life;EOL)による高齢者の意思決定支援を実践している。
北里大学北里研究所病院(以下,当院)は,約1 年間の議論を経て,2008年4月に終末期医療についての院内ガイドラインを制定した。このガイドラインでは,終末期医療についての事前指示書の作成の仕方とその取り扱い,心肺蘇生不要(do not attempt resuscitate;DNAR)指示のルール,延命治療の差し控えと中止を行おうとする場合の手順について定めている。
患者・家族と診療チームで医療・ケアの方針を決定できない場合や,延命治療の中止が課題の場合などには,「医の倫理委員会」による倫理コンサルテーションを求めることとしている。
本研究会ではこれをきっかけに,患者の価値観を尊重した終末期医療を行うために,あらかじめ自身の意思を表明する「私のリビングウィル」という小冊子を作成するに至った。その取り組みについて紹介する。
本稿では,自らの生命に関わる決定,終末期に関する決定など医療において困難な意思決定の支援について取り上げる。手がかりとなるのは今回の特集のテーマでもあるアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning;ACP)であろう。
本稿においては,ACPを「将来の意思決定能力の低下に備えて,今後の治療・療養に関する意向,代理意思決定者などについて患者・家族とあらかじめ話し合うプロセス」(National Health Service のガイドライン1)を参考に筆者が要約したもの)として論を進める。
「気が重い」「おせっかいかもしれない」「また今度にしよう」と,患者とエンド・オブ・ライフ(end of life;EOL)について話すことを避けたり,患者と家族がEOL について話し合う機会を与えられなかったりした結果,患者にとって不本意であろう最期を目の当たりにし,後悔した経験はないだろうか? もし,医療チームが適切にアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning;ACP)を行えれば,このようなジレンマはかなり軽減される。
筆者は,ガイドラインの文言の起草および共同検討に基づく推敲役をした。また並行して,口から食べられなくなった時に本人・家族が自ら考えて,主体的な選択ができるように援助するための「本人・家族のための意思決定プロセスノート」を作成した。その過程でアドバンス・ケア・プランニングに関連すると思われる若干の点を考えたので,それを以下に提示したい。
アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning;ACP)とは,意思決定能力がなくなった時に備えて,あらかじめ自分が大切にしていること,治療や医療に関する意向,代理意思決定者などを話し合うプロセスのことである。
本稿では,ACPの成り立ちと,その他の終期医療における患者の意向の表明方法について述る。
アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning;ACP)とは,狭義に考えると「自己決定能力がなくなった時に備えて,あらかじめ自分が大切にしていること,治療や医療の希望,代理意思決定者などを話し合うプロセス」であり,広義に捉えれば「自分がこれから重篤な病気や状態になった時に,どこでどのようにどうやって過ごしたいかを話し合うプロセス」と捉えてもよいだろう。
「これから死にます」電話の向こう側の声。「どうしましたか?」「私なんか生きていても,しようがないんです…」「いろいろつらいことがあるんですね,よかったら聴かせてください」ゆっくり聞かせてもらおうと気持ちを落ち着かせ,電話の前で姿勢を整える。1時間あまりののち「元気が出ました。今日はこのまま寝ます」「お休みなさい,またつらくなったらかけてくださいね」。
「最期の言葉を残したくて…」と話し始める方もある。死を選ぶに至った人生の端々を聴かせていただく。「生きてくださいというのは酷に思えますが,私は生きていただきたいです。あなたとこうしてお話したこと,あなたのことは忘れませんからね」としかお応えすることができない。
多くの方の人生を伺う。どんなに生きづらく,愚痴を言うしかできなくなっているとしても,それでもコーラーさん(電話の主)は懸命に生きている。今生きているその方の「いのちの証人」となるのが相談員の仕事と思っている。